糖尿病性網膜症の治療
網膜症と診断されたら、どのような治療を行なうのかをご紹介したいと思います。
網膜症は糖尿病の合併症ですから、基礎となる糖尿病を内科で治療する、すなわち血糖コントロールが最重要課題となります。
これは、網膜症のすべてのステージにおいても言えることです。
これを基本に据えて、網膜症の進行状況に応じた眼科の治療を行なっていきます。
単純網膜症の頃は、血糖コントロールに専念するとともに、定期的に眼科で検査を受けて経過を観察するケースがほとんどです。
また、高血糖によって網膜の血流が悪くなっているのを改善するために網膜の血管を広げて血流をよくする網膜循環改善薬を服用したり、
出血を改善するために止血・血管補強剤を服用することもあります。
しかし、網膜の毛細血管が詰まってきたら「レーザー網膜光凝固」という治療が中心となり、増殖網膜症まで進んだらレーザー光凝固に加えて手術が必要になります。
レーザー網膜光凝固とは?
レーザー網膜光凝固とは、網膜の血流が途絶えた、いわば死につつある網膜をレーザー光線で焼き固める治療法です。
よく誤解を招くのですが、出血を焼いて止血するのではありません。
この治療により、新生血管を抑える因子が目のなかに増加することがわかっています。
したがって、新生血管がこれ以上、生えるのを防ぎ、また、すでに出現している新生血管を退縮させることも期待できるのです。
また、黄斑症が軽度であれば、毛細血管癌を直接凝固し、黄斑部のむくみを軽減させる効果も期待できます。
つまり早期であれば、黄斑症による視力低下をある程度改善することも可能です。
レーザー網膜光凝固は、眼科の外来で、点眼麻酔で行ないます。
カメラのフラッシュのような光が数百回目に当たってまぶしく感じるものの、強い痛みはありません。
血流が途絶えている範囲が小さければ1回の治療で凝固は終わりますが、血流が途絶えた場所が広範囲に及んでいる場合は、光凝固する範囲を3〜4分割し、2過から1ヶ月で治療を行ないます。
治療直後は非常にまぶしく、一時的に視力は低下しますが、通常は数時間から数日後には回復します。
ところで、この治療を受けるに当たって、あらかじめ知っておかなくてはならないことがあります。
それは、レーザー網膜光凝固の目的は新生血管発生の抑制・退縮により網膜症の進行を防ぐことを目的に行なわれる治療だ、ということです。
さらに、凝固部の網膜は焼けてしまうので、黄斑部を凝固することはできません。
したがって、レーザー網膜光凝固を行なったからといって、低下した視力が必ずしも回復するわけではありません。
しかも、レーザー網膜光凝固後に硝子体出血が生じたり、黄斑症が悪化して視力が低下する危険性もないわけではありません。
しかし、必ず失明に至る病気である増殖糖尿病網膜症への進行を防ぐためには欠かせない治療であり、
実際、この治療によって多くの患者さんが失明から逃れられるようになりました。
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