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視野の欠損がない「高眼圧症」
「高眼圧症」と呼ばれる病態があります。
これは眼圧が正常範囲より高い状態にありながら視神経が障害されておらず、視野の欠損もないものです。
正常眼圧緑内障とは逆に、少しぐらい眼圧が高くてもそれに耐えられるぐらい視神経が傷害されないのではないかと考えられています。
ただし、高眼圧症の患者さんのなかには将来視神経が障害される人もいます。
そのため、高眼圧症を開放隅角緑内障の前段階だと考えもあります。
高眼圧症と診断されても「当面は治療しなくてもよい」と診断されることがありますが、定期的に検査を受け、経過を観察する必要があります。
カテゴリー:緑内障
緑内障は一生のつきあい
この病気は、薬物療法やレーザー治療、あるいは手術で眼圧を下げることができれば、「ものを見る」機能も維持することが可能です。
しかし、残念ながら現時点では、完治する病気ではありません。
眼圧のコントロールが良好で、視神経障害の進行が停止したと思って治療を中止すると、再び病気が進行し、最悪の場合、失明に至る恐れもあります。
このような不幸に見舞われないためには、「緑内障は一生のつきあい」と肝を据え、主治医と二人三脚で治療に取り組むことが大切です。
また、日常生活においても注意していただきたいことがあります。
1つは、緑内障の治療薬以外の薬です。
風邪薬などの市販薬、あるいは他の病気の治療薬のなかには、眼圧を上昇させる作用があるものがあります。
薬局などで薬を購入する場合、他の病気で受診した際は、医師や薬剤師に自分が緑内障であることを告げるようにしましょう。
この他、首回りのきついシャツを着たり、長時間うつむいて仕事をしたり、一度に大量の水分をとると眼圧が上昇する可能性があります。
あまり神経質になることはありませんが、注意してください。
そして、適度な運動、あるいは旅行や趣味などを楽しみながら、上手に緑内障とつきあっていきましょう。
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緑内障の手術
薬物療法もレーザー治療も適応ではない、あるいは無効な場合は、手術をして眼圧を下げます。
その術式にはいろいろありますが、開放隅角・閉塞隅角を問わず、様々なタイプの緑内障に有効で、かつ十分な眼圧降下が期待できるのは「線維柱帯切除術」です。
これは、強膜をメスで弁状に切開し、線維柱帯がある隅角の一部を切除し、房水のバイパスを作り、そこから房水を結膜の下に流出させる手術です。
房水が流れすぎないよう、強膜弁を糸で縫い合わせます。
そして術後、眼圧に応じてレーザーで糸を切り、房水の流出量を調整します。
かつては切除部分の周囲で細胞が異常な増殖を起こし、せっかく作ったバイパスがつぶれてしまうケースが多かったのですが、
現在は手術中に細胞の増殖を防ぐ薬を結股の下や強惧弁に塗ることにより、手術成績が向上しました。
しかし、房水が流れすぎると前房が浅くなったり消失し、低眼圧が続くと視力が落ちる合併症が生じますし、術後数年後にバイパスがつぶれて眼圧が上がってしまうこともあります。
その場合は、再手術が必要になります。
さらに、術後長期の合併症として目のなかに細菌が入り、眼内炎をきたすこともあります。
この他、「線維柱帯切開術」という手術も比較的よく行なわれます。
これは、細い針金のような器具を差し込んで、房水の流れが悪い、線維柱帯の内側を破る手術です。
線維柱帯切開術では術後にバイパスがつぶれることはなく、眼内炎が生じる危険性も低いのですが、線維柱帯切除術と比べて眼圧降下は弱いといわれています。
また、合併症として術中や術翌日に前房出血が生じ、一時的に眼圧が上昇することがあります。
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緑内障のレーザー治療
開放隅角緑内障(広義)の患者さんのなかには、薬物療法を行なっても十分に眼圧が下がらない人もいます。
このような場合、薬物療法に追加する形で「レーザー線維柱帯形成術」と呼ばれるレーザー治療を行なうことがあります。
レーザー線維柱帯形成術とは、隅角の先にある「シュレム管」という管の内壁にある綱目構造の組織「線維柱帯」にレーザー光線を照射するものです。
そもそも、開放隅角緑内障(広義)は線維柱帯が目詰まりを起こして房水の流れが悪くなっています。
そこで、線維柱帯のところどころにレーザーを照射して目詰まりを解消し、眼圧を下げようというのがレーザー線維柱帯形成術の狙いです。
レーザー線維柱帯形成術は外来で、しかも点眼薬による局所麻酔で行ないます。
また、治療そのものは15〜20分程度で終わります。
ただし、レーザー線維柱帯形成術を行なって1〜3時間後まで病院に滞在し、眼圧のチェックを受けなくてはなりません。
なぜなら、レーザー照射直後、一時的に眼圧が上昇する患者さんがまれにいるからです(現在は、レーザーを照射する前と後に眼圧上昇を防ぐ薬を点眼するので、眼圧が上昇するケースは少なくなった)。
また、この治療により眼圧は下がる人も多いのですが、眼圧が下がらない人もいます。
さらには、眼圧が下がった人でも、時間が経つにつれて眼圧が上昇することがあります。
このような場合は、手術が検討されます。
開放隅角緑内障の治療の基本は薬物療法であり、薬物療法では眼圧が十分に下がらないときにレーザー治療を追加します。
しかし、房水の排出口である隅角が閉じている閉塞隅角緑内障の場合、多くのケースで「レーザー虹彩切開術」と呼ばれるレーザー治療が第一選択となります。
レーザー虹彩切開術とは、カメラでいうところの絞りの役割を果している「虹彩」という部分にレーザー光線を照射し、小さな穴をあけるものです。
閉塞隅角緑内障の大半は、虹彩が前方に盛り上がってしまっているために隅角が塞がれています。
この状態を改善するために、レーザー光線を使って虹彩に穴を開けるのです。
レーザー虹彩切開術も外来で、点眼薬による局所麻酔で行ないます。
これも照射直後に一時的に眼圧が上がることがあるので、これを防ぐ薬を治療の前後に点眼し、レーザー虹彩切開術を行なってから1〜3時間は病院に滞在し、眼圧のチェックを受けます。
また、急性緑内障発作を起こした人は、レーザー虹彩切開術を行なう前に、眼圧を下げる飲み薬(または点滴注射)を服用し、
さらにきつく閉じた隅角を少し開く薬を点眼し、患者さんがレーザー治療が安全に行なえる状態にもっていかなくてはなりません。
初期の閉塞隅角緑内障に対して、レーザー虹彩切開術の効果は高いといわれています。
しかし、すべての患者さんに眼圧降下効果が見られるわけではなく、なかには十分に眼圧が下がらない人もいます。
また、角膜が濁っている患者さんに無理にレーザー虹彩切開術を行なうと、角膜の内皮細胞が徐々に減少し、将来的に角膜に水が入って濁り視力が低下する「水癌性角膜症」という合併症が出現する危険性が高まります。
このようにレーザー虹彩切開術で効果が得られなかったり、行なえない場合は、手術で虹彩に小さな穴をあけたほうが安全です。
この手術を「虹彩切除術」と呼びます。
虹彩切除術を行なっても眼圧が高い状態が続く場合は、他の手術を検討しなければなりません。
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緑内障の治療
緑内障は、放置すると視神経乳頭への障害が進む進行性の病気です。
しかも、一度障害された視神経は二度と元通りにはなりません。
しかし、正常眼緑内障を含めて、眼圧を下げることで、その進行を防止したり、遅らせることができる可能性があります。
したがって、緑内障の治療では、眼圧を下げることが最重要課題となります。
診断が確定したら、眼科医は「どの程度まで眼圧を下げるべきか」を検討して眼圧の目標値(「目標眼圧」という)を設定し、その達成を目指して治療を行ないます。
また、眼圧を下げる手段(治療)としては、おおざっぱにいって(1)薬物療法、(2)レーザー治療、(3)手術の3つが挙げられます。
このなかから、緑内障のタイプや病気の進行度などに応じて、個々の患者さんに適した手段を選び、治療が行なわれます。
開放隅角緑内障(広義)に関していうと、まず薬物療法が行なわれ、閉塞隅角緑内障に対しては、多くはレーザー治療が行なわれます。
開放隅角緑内障(広義)の場合、治療の基本は薬物療法です。
房水が作られるのを抑える作用がある薬、あるいは房水がスムーズに流出するのを助ける薬を用いて眼圧を下げていきます。
緑内障は、糖尿病などの生活習慣病と同様、慢性の病気ですので、薬物療法は生涯続けなくてはなりません。
緑内障の治療に用いられる薬は原則として点眼薬であり、前身への副作用は内服薬に比べれば危険性が低いとはいえ、一生使い続ける以上ゼロではありません。
そこで、眼科医は、薬は必要最小限用いるようにしています。
ただし、薬の効果は個人差があり、どれぐらいの量が必要最小限になるかは患者さんによって異なります。
そこで最初は1つの薬を使ってみてその効果を調べ、効果がない場合は他の薬を追加するか、最初に使った薬の量を増呈します。
このようなことを行なうことで、医師は個々の患者さんに合わせた薬の必要最小限を探っていくのです。
薬物療法の効果を握る「コンプライアンス」
薬物療法が功を奏するか否かは、医師の処方によるところも大きいのですが、それと同等もしくはそれ以上に大きな影響を及ぼすのが患者さんの「コンプライアンス」です。
コンプライアンスとは、わかりやすくいえば、患者さんが自分の病気をきちんと理解して医師の指示を守って正しく薬を用いる、といったことを意味します。
なぜ、コンプライアンスが重要なのかというと、眼科医が副作用をなるべく防ぎつつ、最大限効果を発揮するよう薬を処方しても、
患者さんが自己判断で薬の使用を中止したり、増量したり、あるいは点眼の仕方が間違っているなどといったことで、副作用が生じたり、
薬の効果が弱められてしまうことが少なくないからです。
処方される薬については、医師や薬剤師などから
「1日何回点眼するか」
「いつ点眼するか」
などの指示が出ますので、それを守って正しく使用するようにしましょう。
また、万が一、副作用が現われたときは、まず主治医に連絡をとり、対応策について相談してください。
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開放隅角緑内障について
開放隅角緑内障は、隅角から先の排出路が目詰まりを起こして眼圧が上昇し、視神経乳頭が障害されていく病気です。
ところが近年、隅角から先の排出路が目詰まりを起こしている緑内障を発症した患者さんのなかには、
眼圧が正常範囲(10〜21、ミリHg)にある人も少なくないことがわかってきました。
眼圧は正常範囲にあるけれど、隅角から先の排出路は目詰まりを起こしていますし、視神経乳頭が障害されているのです。
このようなタイプは「正常眼圧緑内障」と呼ばれ、眼圧が正常範囲を超えているタイプと区別されています。
正常眼圧緑内障は決して特殊な緑内障ではありません。
日本の緑内障患者さんの大半は、この正常眼圧緑内障を発症しているのです。
日本緑内障学会が2000〜2001年にわたって実施した緑内障疫学調査によると、
40歳以上で広義の開放隅角緑内障(高眼圧症を除く)にかかっていた人は3.9%。
そのうち、開放隅角緑内障をもっている人は約0.3%、正常眼圧緑内障をもっている人はその10倍以上の3.6%だったそうです。
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視神経にダメージを与える
網膜の視細胞がキャッチした視覚情報は視神経を経由して脳に伝わり、脳がその視覚情報に画像処理を施す、この一連の作業がスムーズに行なわれることによって、
「ものが見える」ということが可能になっています。
ところが、視覚情報を脳に伝える視神経の入口「視神経乳頭」が障害されることがあります。
それはどんなときかというと、たとえば眼圧が高い場合です。
風船を押す(圧力をかける)と風船が割れてしまうように、眼圧が高いと視神経乳頭が傷んでしまうのです。
そして、視神経乳頭がダメージを受けた部分に応じて視野が欠けてしまいます。
このような状態が「緑内障」です。
この病気は大きく分けて、以下の3つのタイプに分類することができます。
原発緑内障
眼圧上昇の原因を他の目の病気やからだの病気に求めることのできない緑内障。
続発緑内障
他の目の病気やからだの病気が原因で眼圧が上昇し、発症した緑内障。
発達緑内障
赤ちゃんがまだ母親の胎内にいた頃、隅角の発育過程に何らかの問題があり、それが原因で眼圧上昇をきたした生まれつきの緑内障。
学問上、緑内障はこのような3タイプに大別されますが、一般に緑内障という場合は原発緑内障を指します。
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視野が狭くなる「緑内障」
視線(眼球)を固定した状態でものが見える範囲を「視野」といいます。
正常な視野範囲(片目で見た場合)は上方50度、鼻側60度、上方70度、耳側90度とされています。
ところが、この視野範囲が狭くなってしまうことがあります(「視野狭窄」という)。
この視野狭窄が現われる日の病気の1つが「緑内障」です。
ただし、緑内障になったら、即、視野が狭くなったと感じるわけではありません。
最初は視野の一部に見えない部分が出始め、病気の進行に伴って見えない範囲が広がっていきます。
たとえば、眼前の風景の中心に近い部分が見えなくなるところから始まって、徐々に見える範囲が狭くなるケースもあれば、風景の周辺部に見えない部分が出てきて、見える範囲が狭くなっていくケースもあります。
最初は見えない範囲がきわめて小さいうえに、片方の健康な目がフォローしてくれるため、視野の異常になかなか気がつかず、
病気が進行するまで「見えにくい」と感じずに過ごしてしまう人が多いのです。
早く視野の異常に気づくには、片方の目を閉じてものを見る必要があります。
視神経が障害されて視野が狭くなる
私たちは、網膜でキャッチした視覚情報が視神経を経由して能へ伝わることでものが見えています。
ところが緑内障の患者さんでは、視神経(視神経乳頭)が障害されているため、脳に視覚情報がうまく伝わらなくなり、視野の異常が現われるのです。
では、なぜ、視神経が障害されるのでしょうか。
かつては、眼圧が上昇したために視神経が圧迫されて障害が生じると考えられていたのですが、それだけが原因ではなさそうです。
というのも、眼圧が正常であるにもかかわらず、視神経が障害されて起こる緑内障があることがわかってきたからです。
このようなタイプの緑内障を「正常眼圧緑内障」といいます。
わが国でもっとも多く見られるのは、この正常眼圧緑内障です。
緑内障の治療は、病気の進行によって異なる
緑内障には前述の正常眼圧緑内障以外に様々なタイプの緑内障があり、そのタイプおよび病気の進行によって治療法が異なります。
日本人にもっとも多く見られる正常眼圧緑内障の場合、点眼薬によって眼圧を下げ、病気の進行を抑えることに主眼が置かれます。
このタイプの緑内障をもつ患者さんにとっては正常な眼圧でも高すぎるのではないかと考えられますので、眼圧を下げる薬を用いるのです。
このような薬物療法では眼圧が下がらず、かつ視野の異常が軽度〜中等度の場合は隅角にレーザー光線を照射する治療が行なわれることもあります。
薬物療法でもレーザー治療によっても眼圧がうまくコントロールできない場合には手術を行ないます。
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