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高度近視
近視が極端に強すぎて、それを治すだけの角膜の厚さが足りなくなると、近視を完全に治すことができなくなります。
そこで、術後にもメガネが必要になります。
「それなら手術の値打ちがないではないか」
と思われるかもしれませんが、近視がひじょうに強いとメガネによる矯正ができず、仕方なくコンタクトに頼っている方が多いのです。
このような人が年をとってコンタクトが使用不可になったらどうなるのでしょう。
というのも、年齢とともに涙の量が少なくなるので、コンタクトがしづらくなるのが一般的だからです。
いままでなら仕方なく牛乳瓶の底のようなメガネをかけて不自由な生活を強いられていたところです。
このような方は、LASIKにより近視を完全に治さなくても、軽度な近視にまで治してあげると、コンタクトから解放されたうえ、薄いメガネで完全矯正できるようになるのでひじょうに喜ばれるのです。
若い人はほぼ百パーセントよくなる
40歳代後半までで、近視の度数がそれほど高くない人にとって、LASIKの目的へメガネ、コンタクトから解放されること)は百パーセント実現できます。
二〇歳代および三〇歳代では1.0を得る確率がほぼ百パーセントです。
裸眼で1.0以上あれば、日常生活でメガネ、コンタクトを必要とすることは、まず考えられません。
40歳代では、1.0になる確率が九二パーセントに落ちています。
しかし、このデータは片眼ずつのものですから、両眼のうちどちらかが1.0以上ある確率ということであれば、40歳代でも、ほぼ百パーセントということになります。
40歳代になると、調節力が落ちて老眼の心配が出てきますが、遠くを見るということについては、ほぼ満足すべき結果になっています。
50歳代ですと、1.0になる確率が七六パーセントにとどまっています。
これは、この年代ではかならず老眼が出ているため、手術後の視力を0.7から0.9に合わせることがあるからです。
生活習慣、職業上の理由で視力1.0以上を希望される万も多いのですが、もし両眼ともl.0以上になりますと、読書用のメガネが常に必要になります。
本よりは少し遠くですが、パソコンの画面もメガネをかけなければ見えません。
一方、視力が0.7から0.9になるようにピントをやや手前にもってくると、室内にいるときやパソコンを使うにもあまり困りませんし、
小さい字以外は近くもなんとか見ることができます。
レーザー照射をおこなう際、年齢や近視の度数に応じて切除量を調整するのが一般的です。
年齢が高くなるほど、近視の程度が強くなるほど、レーザーの量がより弱めになるように調節します。
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近視の治療の選択肢
近視の治療にはいくつもの選択肢があります。
それぞれ、いい点も悪い点もあります。では、どの方法がベストでしょうか。
結論からいうと、メガネ、コンタクト、手術ともそれぞれに特色があり、優劣をつけることはできません。
歴史的にはメガネ、コンタクト、レーシック手術と進んできたのですが、コンタクトが登場したあともけっしてメガネがなくならなかったように、
手術が社会に定着したとしても、メガネやコンタクトがなくなってしまうことはありえません。
しかし、その人の年齢や職業、屈折異常の程度によっては、よりふさわしい方法があるかもしれません。
「治療法を選ぶとしたらどの方法がいいか」
あるいは
「どんなときに手術がふさわしいか」
についてあなたの事情の側から考えてみましょう。
見た目で選ぶ(美容上の理由)
なんといっても、顔はその人の人間性をもっともよく表現する部分でしょう。
背の高さ、体型、話し方なども人の印象を決定する要素ではありますが、顔の重要性にはかないません。
そういった意味で、メガネはやはり大きな問題となることがあります。
一般的にメガネには「理知的」「清潔」といった雰囲気があるようです。
俳優の陣内孝則さんを想像してみてください。
俳優さんのなかには雰囲気を出すために、だてメガネを使っている方もおられると聞きます。
しかし、近視の方のもっとも大きな悩みが、メガネをかけることにあるのも、またまちがいありません。
とくに学童期にはじめてメガネをかけるとき、誰でも大きな心理的負担を感じます。
メガネがいじめの対象になることもあるようです。
そのため、子供にメガネをかけさせることを嫌がるお母さんも多いのです。
近視で視力が落ちはじめの頃、ほとんどの親は効果の不確実な点眼治療や望遠訓練を望み、それでも視力が回復しないと、学校の先生にかけあって席を黒板の近くに替えてもらうようにします。
小学生以下の学童期の子供は通常、手術の対象になりません。
成長期には眼の大きさも変わるため屈折の値が安定しておらず、手術で治療する度数を決定できないからです。
また、コンタクトレンズも取り扱いに難があり、手入れや定期検査が必要なため、使うことかできません。
軽い近視ならメガネをかけなくてすむかもしれませんが、遠視や斜視の場合メガネをかけないでおくと弱視になって、とりかえしがつかなくなることがあります。
学童期にはその子に合ったメガネをきちんとかけることを、おすすめします。
また、学童期のメガネは、眼科専門医で処方箋を書いてもらってから購入するようにしましょう。
中学、高校になるとコンタクトレンズが選択肢に入ってきます。
20歳を過ぎたら手術も視野に入ってきます。
美容的にメガネがいやなら、まずコンタクトレンズを試してください。
コンタクトの市場はここ数年で大きく変化しています。
使い捨てのソフトコンタクトレンズ(DSCL)が主流になってきたからです。
従来の酸素透過性ハードレンズ(HCL)は長持ちし、経済的ではあるものの、違和感がやや強いこと、ゴミ、ホコリに弱いこと、装用時間が限られることなどが嫌われて、
DSCLの販売価格が下がるとともに大きくシェアを落としています。
最初は一日装用のDSCLがよいと思います。
コンタクトで不具合を感じていない方にとっては、手術で近視を治す必要はないかもしれません。
しかし、コンタクトが手術にくらべてコストがかかることは意外に知られていない事実です。
低下ベースでのおおまかなコストを比較しますと、
HClの場合二年間にかかる費用はレンズ価格が四万円、
ケア用品が五万千円の計九万千円なのに対して、通常の(使い捨てでない)SCLではそれぞれ四万四千円、六万六千円の計十一万円、
一日で使い捨てのDSCLではケア用品は不要ですが、レンズ代のみで二年間に十九万四千円かかります。
DSCLを数年間使用するとLASIKの費用(両眼で三十万〜五十万円)が出てくる計算になり、
長い目で見ると、コンタクトのはうが手術より高コストであることがわかります。
アメリカでは民間の医療保険が発達しているため、医療のコストに敏感です。
いくらよい治療でもコストが高すぎるものは敬遠されます。
同じ治療効果ならコストの少ないものに切り替えられます。
アメリカで白内障手術がすべて入院から日帰りに切り替わったのはこのためです。
やみくもな延命治療は認められていませんし、高すぎる医薬品は使用制限が施されます。
LASIKはアメリカでも保険適応ではありません。
アメリカでLASIKが普及した背景に、コンタクトレンズとのコスト比較があることは、まちがいないと思います。
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近くばかり見ていると近視になる
近視は読み書きを生活の中心にすえた文明社会に特有のものです。
アフリカのある部族では、住民の平均視力が1.5以上あり、視力4.0の人もめずらしくないそうです。
日本でも縄文時代、狩猟を生業としていたころは、みなさん視力がよかったにちがいありません。
遠くを見る機会が多いと近視にならないことは、たとえば、船乗りさんに遠視が多いことからも裏づけられます。
近視では目の前後の長さ(眼軸長)が伸びて、スクリーンに相当する網膜が遠ざかることにより、ピントの合う位置が正常より前になっています。
では、眼軸長はなぜ伸びるのでしょうか。
ノーベル賞をとったヴィーゼルという人の実験によると、生後すぐ目隠しをされたヒヨコは、成長とともに目隠しをされたほうの眼だけ眼軸長が異常に伸びてしまうことがわかりました。
つまり、視覚の刺激(ものを見ること)がないとピントを合わせる位置がくるってしまうのです。
このことから、普段、ものを見るという刺激によって、眼軸の長さが微妙に調整されていることがわかります。
これは瞬間的にピント合わせをする調節と異なり、もっと長い時間をかけて起きる変化です。たとえば一ヶ月とか一年とか。
近くばかりを見ていると、近くにピントが合うほうが都合がよい結果、長い時間をかけてすこしずつではありますが、眼軸長が伸びてしまうのかもしれません。
近視は文明社会における適応現象ともいえるでしょう。
近くのものを見るのが主体の生活を続けている結果、近くのものが見やすいように適応してしまうのです。
事実、50歳を過ぎて老眼が出てくると、近視の人は老眼鏡なしで本が読めるのに対して、近視のない人は老眼鏡が必要になってきます。
まことに近視は近業に適しているのです。
高齢者のように老眼が出ている人では、近視のほうが便利な場合も多いと思います。
でも若い人にとって近視はやっぱり不便です。
テレビを見るとき、車に乗るとき、スポーツをするとき、人と会うとき、映画を見るとき、黒板を見るとき等々、近視では困る情景を数え上げたらきりがありません。
ですから近視の人にとって、メガネやコンタクトは体の一部のようになってしまいます。
近視は屈折異常の程度によって分類されますが、屈折異常がひじょうに強い人のなかには、眼底の網膜や脈絡膜に出血や萎縮などの病変が出て、矯正視力が低下することがあります。
この状態を病的近視、または変性近視とよんで、矯正視力の低下していない普通の近視と区別します。
変性近視では網膜の黄斑部分に変性、萎縮が生じ、矯正視力が低下します。
変性近視によって矯正視力が低下している場合でもLASIKにより視力が改善しますが、残念ながら術後の視力には限界があります。
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