急に視野が消えたり、すぐに戻ったりする「網膜動脈閉塞症」
網膜に酸素と栄養を送っている血管(動脈)が何らかの原因で詰まる病気を「網膜動脈閉塞症」といいます。
患者さんの多くは、突然片目が見えなくなった、あるいは朝起きたら、片眼の視野の一部が欠けていたと訴えて眼科を受診します。
しかし、問診などで過去に「目の前が暗く感じたが、数分後には自然に治った」という経験をしていたことが判明するケースがよくあります。
この症状は「一過性黒内障」といいます。
本格的に血管が詰まって網膜動脈閉鎖症を発症する前に瞬間的に血管が詰まることがあるのですが、一過性黒内障はこの「瞬間的な詰まり」が原因で起こります。
網膜は、大きくわけて「網膜血管系」と「脈絡膜血管系」の2種類の血管を流れる血液から酸素や栄養を補給することで、その機能を果しています。
このうち網膜血管系の動脈が何らかの原因で詰まり、血液がとだえた箇所の神経細胞が機能しなくなってしまうのが網膜動脈閉塞症です。
網膜動脈閉塞症は、どこの血管が詰まったかによって2つのタイプに分類されます。
1つは視神経内を走る「網膜中心動脈」が詰まるタイプ(「網膜中心動脈閉塞症」という)です。
網膜中心動脈が詰まると網膜全体に血液が届かなくなるため、突然の著しい視力低下が起こります。
もう1つは、網膜中心動脈が枝分かれして網膜の内側の層を走る「網膜動脈」が詰まるタイプです(「網膜動脈分枝閉塞症」という)。
血液が届かないのは詰まった箇所から先の網膜だけで、それ以外のところでは神経細胞は機能します。
そのため、前者のように著しい視力低下を起こすことはあまりなく、視野の一部に見えないところができる(血流が途絶えた箇所の視野が欠損)ケースがよく見られます。
ただし、網膜の黄斑部で血流が途絶えた場合は、著しい視力低下が起こります。
網膜の動脈が詰まってしまう原因は、大ざっぱにいって
(1)網膜の動脈で起きた動脈硬化、
(2)網膜の動脈よりも心臓に近い部位、たとえば頚動脈で動脈硬化が起こり、そのために生じた血液の塊などが何かの拍子に網膜の動脈にたどりついて付着した、
(3)網膜の動脈に炎症や痙攣が起きた、または血液の成分や血流に病的な変化が起きた
の3つに分類されます。
(1)と(2)は、ともに動脈硬化が基盤にありますので、動脈硬化を招きやすい高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかっている人は網膜動脈閉塞症を発症する可能性が高いといえます。
網膜への血流が途絶えた状態が40分以上続くと、神経細胞や神経線経が病的な変化を起こします。
そうなってから血流が再開しても、神経細胞の機能は回復しません。
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