脳でものを見る
私たちはよく、ものを「目で見る」といいます。
しかし実際は、目だけでものは見えません。
つまり網膜に映された像は、その形や色などを脳が認識しない限り、見えてはこないのです。
これは、五感のすべてにいえることです。
耳が聞く音も、皮膚が感じる触感も、舌が感じる味も、鼻がかぐにおいも、すべては脳がキャッチし、理解して初めて、情報は生きてくるわけです。
そういう意味で、目も含め感覚器官のすべては、脳の出先機関のようなものといえます。
脳に視覚情報を送るために、処理加工をしているのが網膜です。
網膜に映し出されるのは光の情報ですが、このままでは脳には届けられません。
網膜にある視細胞は、これを吸収して電気信号に変えることで、情報を運びやすくしているわけです。
電気信号に変えられた映像情報は、網膜上を走る神経線経に伝えられます。
神経線経は、やがて視神経乳頭という部位で束ねられ視神経になります。ひも状の東になった視神経は、眼球を出て頭蓋の中へ入ります。
頭蓋の中で視神経は、左目の神経(内側半分)と右目の神経(やはり内側半分)が交差し(視交叉)します。
この左右の交差があるため、私たちはものを立体的にとらえることができるのです。
脳の中に入った視神経は、脳の後ろ(後頭葉)にある「視覚領」に達し、こうして映像情報は、脳に認識されるようになります。
目はよくカメラにたとえられます。
しかし、こういった機能を考えますと、「見える」仕組みは、むしろテレビ装置に近いといえます。
つまり角膜から網膜にいたる眼球の部分は撮影機にあたり、そこで得た情報は視神経というコードに乗って、脳という受像機に達して初めて「見える」ということになるからです。
目の病気(眼科医の治療の対象となる部位)は、眼球やその付属器が範囲となります。
しかし視覚は、脳や脳神経に障害が起こっても阻害されるということを、ぜひ知っておきましょう。
網膜は、起きて目を開いている間は絶え間なく、光の情報処理をつづけなければなりません。
新陳代謝のはげしい場所ですから、血液が大量に必要になります。
そのため血管が縦横にめぐらされています。
この血管は、瞳孔から、角膜・水晶体という透明レンズを通して、のぞき見ることができます。
網膜は、体を切り開かなくても直接、血管の状態を見ることができる唯一の場所なのです。
網膜(眼底)の血管は、脳動脈の根部分ですから、眼底検査をすれば、脳動脈の状態をある程度知ることができます。
また糖尿病や高血圧症による血管の変化なども把握することができます。
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